2023.9.27wed. - 10.10tue.
世界のはじまりはクリームの海だったのかもしれない。
本展のメインとなる「神話シリーズ」は世界の神話を元に、世界とお菓子のはじまりに想いを馳せながら制作されました。
日本の古事記にはドロドロの海をかき混ぜて世界が誕生したという"国産み神話"があり、
ヒンドゥー教には「乳海攪拌」というクリーム状の海をかき混ぜて世界が生まれたという天地創造神話があります。
中国には「天地開闢」という天地が姿かたちをなす前は卵の中身のようにドロドロだったという神話も残っています。
様々な国の神話から、"世界のはじまりはクリームの海だったのかも"という着想に至り、世界とお菓子のはじまりを紐解くことで、今回の「世界のはじまりとクリーム」の展示となりました。
また、日本が世界のスイーツの起源の地であるという神話が、日本書紀に記されています。
紀元61年、田道間守命は垂仁天皇の命をうけ、常世の国から不老長寿の妙薬「非時香果」を持ち帰りました。
それは橘の木を表し、当時菓子の最上品として珍重されその橘を彼方の地より持ち帰った田道間守命は「菓祖神」(お菓子の神様)とされるようになったと伝えられています。
現在も兵庫県豊岡市の中嶋神社にお菓子の神様として祀られています。
元々は神の世界から持ち帰ったもの、神が創造したものだとの表記があるように、生きるための食べ物ではない、人間の時間軸を越えた存在だったのではないでしょうか。
その後、貴重なお菓子は神に捧げる神饌として、神と人をつなぐ存在となりました。
アートと同じようにお菓子は人間が生きていく上の食の中で、必ずしも必要なものではないかもしれませんが、
祈りと儀礼で心を豊かにする宗教の様に、お菓子の存在は、神話のつながりが強い現在のあらゆる宗教が目指すユートピアなのかもしれません。
SAN BANCHO GALLERY
三番町ギャラリー
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